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第136話

「先に食べていいよ」  そう言われてソフトクリームの先端にかぶりつく。牧場ミルク味と書かれたそれは甘くて芳醇なミルクの味で口の中がいっぱいになるほど濃厚だった。ちろちろと舐めていると、唯斗の視線を感じてしまい照れくさくなって後ろを向く。 「俺はもういいよ。唯斗さん食べて」  言われた通りに渡したが、スプーンをもらうのを忘れていたのを思い出し売店の売り子さんに声をかけようとするとその手を掴まれた。 「いいよ。このままで」  ねっとりと唯斗のピンク色の舌がソフトクリームを舐めとる。決して意図しているわけではないのだろうが、似た行為を思い出して一人顔を赤く染めているとクインに頬を掴まれる。 「いひゃい」 「シュウえっちなこと考えてたでしょ」  小声で囁かれ、うっと図星をつかれる。違うってば、と言い返すと満面の笑みで言葉を返された。 「嘘だぁ。このむっつりすけべくん」  みょーんと頬を引っ張られ、地味に痛い。そんな二人を仲睦まじいと見たのか義則が唯斗に目くばせする。 「お宅の子可愛いですね」 「いえいえそちらも」  そんな二人の小声の会議が開かれているともつゆ知らず、秀治は頬をつままれていた。 「そろそろ行くぞ」 「あ、待ってよ拓馬さん」  早々に食べ終えた拓馬が一人で歩き出すのをアレンが引き止めようとするも、一服と言って喫煙所に向かってしまった。 「ごめんね。あの人煙草がないと生きていけない人だから」  申し訳なさそうにアレンが謝る。義則は唯斗を溺愛していそうな感じがぷんぷんと匂うが、拓馬はどうなのだろう。そっけない態度にアレンが振り回されているようにも見えて少し友人として心配になる。

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