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第一章 第13話 ※R18

 ヒートが来た。  ヒートが来たのは午後を過ぎてからだが、寒気がするし、ヒートの予感というのは当たるものなので、朝から学校を休んでいた。  同じΩの母親は、心配こそするものの「抑制剤を飲んで大人しくしてなさい」とだけ言い残して、仕事へ行ってしまった。 『今日からヒートで学校休みます』  西条さんにスマホからメッセージを送る。 『お大事にしてくださいね。必要だったら、呼んでください』  すぐに返信が帰ってきた。  体が熱い。  冷えピタを探しに冷蔵庫を開ける。  抑制剤は飲んだが、それでも溢れんばかりの熱が身体を襲ってくる。  額に冷えピタを張り、自室に戻ってベッドに潜り、布団に包まる。  抑制剤は、ヒートの症状を軽減したりフェロモンを抑えてくれるもので、完全にヒートを避けることはΩならば誰にもできないことだ。  薬の効きが良すぎる体質ならば普段と変わらず過ごせるのだろうが、そんな体質のΩは稀だ。 「はあっ……ムラムラする……」  触ってもいないので流石に勃起したりはしないが、下腹に溜まる感覚が抜けず、散々拡張している尻の方も疼いてくる。  しかし抜く気力もまだ湧いてこない。  倦怠感に身を包まれ、熱に浮かされた身体を休めるためにひたすら睡眠を貪る。  抑制剤の他に、熱用の薬も適当に飲む。  食欲も湧かない。ゼリーやヨーグルトと言った軽いものだけを辛うじて口にする。  熱気に身体が包まれる中で、経口補水液のペットボトルを殻にしては、ベッドの脇に投げ捨てる。  とにかくしんどい。  しかしそれよりも、俺は西条さんとのことを考えなければいけない。  タイムリミットは約一週間。ヒートが終わるまでに呼び出して、ヤる。ヒートが終わってからじゃΩとαの引力が薄れるので、なるべくヒート中にヤッた方が良い。  でも問題は、俺の心とヤッて振った後の西条さんへの弁明だ。  ヒート中にαとヤッて、俺の心が木野崎から西条さんに移り変わらない保証もないのがもっと問題だ。  ぐるぐると頭を悩ませながら、寝ては起きてを繰り返し、時間だけが過ぎていく。  気が付けば日付が変わっていて、風呂に入ってはまたベッドに逆戻り。  開けっ放しのカーテンからは日差しが差し込んだり、月が闇夜を照らしたりするのがわかる。  学校のない日々は暇なはずなのに、熱に浮かされた身体では時間は早く過ぎていく。  気が付けばもうすぐ一週間を迎えようとしていて、タイムリミットを意識せざるをえない。  今回のヒートになってから、まだ一回も抜いていない。  こんな身体でもし今西条さんと……αと、ヤッたら。  想像だけでも身体が震える。  いつもの妄想には木野崎が出てくるのに、今は西条さんが頭から離れない。  ヒートだからか?木野崎のことが好きだと口では言うくせに、本能はαを欲しているのだろうか。  今日は西条さんは塾の無い日だ。  呼ぶなら今日しかない。  突発的にそう思った。 『もし良かったらうち来ない?』  来ない?なんてカマトトぶった文面に、Ωのαを喰う色を滲ませる。  来いよ。本当はそう言いたいのだ。αが餌に食いつくのを、待ち構えているのだ。 『放課後、伺いますね』  すぐに返信が来た。俺は自分の家の住所をメッセージで送る。  西条さんは今、授業中だろうか。間違っても授業中に携帯を触るようなタイプじゃない。真面目な優等生。  それでも俺からの連絡を今か今かと待ち、ヒートの「自分のΩ」に備えて気にしてくれていたんだろう。 「ふっ……熱……やるか……」  重い体をやっと起こして、俺は尻の拡張と射精の準備をする。  いくら抑制剤を飲んでいるとはいえ、一度も抜かずに本番をしたら、流石にぶっ飛ぶ。壊れる。それくらいはヒート中にαと致したことがない俺にもわかる。言うことを聞かない身体を動かすのはしんどいが、一発で良いから抜かなければ。  いつものように尻の下にタオルを敷き、チンコにゴムを嵌め、尻にはゴムを嵌めた指で慣らしていく。  指を増やしてはローションを継ぎ足し、木野崎に貰ったアナルプラグをゆっくりと押し込んでいく。  このまま拡張していたら、西条さんがうちに着く頃にはちょうど西条さんのモノも入るくらいに広がるだろう。  チンコを扱くと、ヒートのせいだろう、数回扱いただけでガン勃ちになった。  ゴムの中でぬめる自分のモノを、亀頭を撫で、裏筋を扱きあっという間に達する。  ヒートのせいで、達くのも早い。  達ったら達ったで、一回出しただけだが、今度は眠くなってくる。  放課後まで、あと一時間。  ローションは粘性の高いものを使っているので、1時間程度なら乾かないだろう。アナルプラグはそのままに、本番に備えて寝溜めし、体力を貯蓄することにする。  尻の違和感がすごいが、眠気が勝つ。  チャイムの音で、ハッと意識を取り戻した。  2階の自室から階段を駆け下りて、玄関のドアを開ける。 「こんにちは。……大丈夫ですか?相浦君」  長い黒髪に白い肌。揺れる巨乳にシャツの胸のボタンはパツパツと張っていて、短いスカートの裾が気になる。  ヒート中の俺のフェロモンに呼応するように、西条さんのαのフェロモンが一気に充満する。 「っは……」 「……うあっ」  ドクンドクンと心臓が脈打つ。  甘いフェロモンで理性が破壊されるのがわかる。  そしてそれは、西条さんも同じのようで。目が合う。逸らせない。お互いが呑まれる。  玄関のドアに鍵をかけて、黙って俺は西条さんの手を引き、二階の自室へと連れて行く。  自室の戸を閉めて、すぐに俺はシャツを脱ぎ捨て、ベッドに西条さんを誘い込んだ。  俺は履いていたズボンのジッパーを下ろし、腰までずらした。  一人の時は触らなければ勃起もしなかったのに、αと密室に居るというだけで、だんだん自分のモノが形を成していく。  αのフェロモンで性欲が底から溢れ出していく。 「ゴメン、西条さん……挿れさして」

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