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第二章 第20話

 あれから木野崎とは、家に遊びに行ったり、遊びに来たりして、セックスもした。  お互いオナニーに尻を使うようになったからか、おもちゃで慣らされているのか、俺達がΩだからか、女にするのと大差ない慣らし方でもフツーにセックスができてしまっている。  Ωは後ろも濡れるとはいえ、尻を使う男Ωはローションが必需品だが、俺は女相手でもローションを使うのでそこもやはり変わりなく。経験の少ない木野崎は俺によって俺好みのやり方を植え付けられている最中だ。  そんな夏休みも折り返しを迎えて、今日はΩクラスだけでなく、学校全体の登校日だ。  いつも通り横の席と後ろの席を囲む木野崎、赤城とだべっていると、窓の外からにゅっと葛飾が現れた。 「久しぶりだな」 「……おう」  げんなりとする俺の顔を見て笑う葛飾。もちろん京本も一緒だ。 「夏休みの間、俺らに合えなくて寂しかったか?」 「Ωは夏休みでも学校なんだよ。寂しいわけあるか。で、何」 「邪険にするなぁ……まぁ、今日はお客さん連れてきただけだけど」 「お客さん?」  見ると、葛飾の背後に男子生徒が一人、立っている。 「おお、相浦琉人、本物だ」 「……どーも」 「こんにちは。俺は生徒会副会長をやってる、羽田です。3年でαだよ」  本物とは、どういうことだろう。  1年の中では持ち前の顔でもって有名な自覚があるが、俺は3年生にまで噂されているのだろうか。そんなのはうららレベルの生徒だけの話だと思っていたが、まさか俺もか。  赤城が、「琉人、有名人じゃん」と茶化す。 「1年からも生徒会委員を募りたくてさ。2、3年は一学期から生徒会をやるけど、1年だけは二学期から入ってもらうようになってるんだよ、この学校」  どうせ俺に話しかけてきたのも、Ωクラスの中で顔が利く俺を介してなら人を集めやすいとか、そんなところだろう。 「生徒会はバース性問わず活発に活動してくれる生徒を募集してるから、Ωクラスも見に来たってわけ」 「それでなんで葛飾が羽田さんを連れてくるんですか?」 「1年のαクラスの生徒会委員は葛飾と京本だから。βクラスもこいつらが案内してくれたんだ」 「えっ」  俺はびっくりして奴らを見つめる。 「お前ら、生徒会なんてガラか?」  それに笑いながら葛飾が答える。 「失礼な。3年になったら会長職狙うっつーの」 「お前みたいなΩを小馬鹿にしてる差別主義の最低野郎が会長になんかなれるわけないだろ」 「相浦お前、俺をなんだと思ってんの?」  残念ながら俺の葛飾の評価は地の底ぐらい低い。  それは俺からΩの取り巻き達を奪う存在であるから、というのも関係している。  現に今だって、訪ねてきた3人のαにクラスメイト達は目をきらめかせてソワソワと話しかける機会を伺っている。 「あー……生徒会、やる人!立候補!」  俺は教室に向かって声をかける。  クラスメイト達はザワザワと話し合った後、男子一人と女子二人がこちらへやってきた。 「俺、暇だし。中学の時は野球部入ってたけど、ヒートで休むせいで部内で浮いてたから高校からは部活入ってなくて、やることないんだよ」 「私は、中学の時も生徒会やってたから。大人しいから雑務押し付けられてただけだけど……役に立てるなら」 「アタシは、今年委員長になれなかったから、内申の為にも生徒会入れるなら入りたい」  そう言って俺達を挟んで並ぶ3人に、羽田は残念そうに言った。 「ひとクラスの生徒会委員は、2人までって決まってるんだ」 「じゃあ、ジャンケンか」  俺が提案すると、3人はジャンケンで勝敗を決める。  女子二人が勝ったので、この二人が生徒会に所属することになった。 「これからよろしくね」  と二人に笑みを見せる葛飾と京本に、二人はポッと顔を赤らめる。 「よ、よろしく」 「お願いします」

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