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第五章 第54話 ※R18

 百瀬の連絡は早かった。  仕事終わりに和食の個室を予約したとメッセージが届く。  木野崎は、受験は手ごたえありとも、不安とも言わない。  滑り止めに何校かまだ受けるはずだが、それに向けて緊張している様子もない。  ただただいつも通りの日常を送っている。 「お待たせしましたー!行きましょー!」  百瀬が俺と木野崎を両脇に携えて、両手に花の状態で店へと赴く。  個室に通され、メニュー表を手に取る。 「唐揚げとタコ天と、枝豆と……俺ビール頼んでいいっすか?」 「ご自由に。俺はウーロン茶」 「俺はオレンジジュースで」  それぞれに好きな物を頼む。  もちろん俺と木野崎はまだ18歳なので飲酒はできない。  百瀬がハイペースでジョッキを空ける。 「今日は噛みまくりでNG出まくりで……あの長回しの長台詞が……俺は駄目な奴なんですよぉ~。琉人君は、そんなことないでしょ?」 「はぁ、まあ俺はNGつっても普通ぐらい……」 「それでもまだデビューして2年ぐらいですよね?俺との差よ!俺だって一応、一年ちょっとは真面目に活動してんのに……このドラマ終わったら舞台かあ……」  何杯もビールをおかわりした百瀬が絡んでくる。 「ねぇ、こんな弱ってるαを慰めてみようとか思いませんか?二人で同時に俺のチンコ舐めてくれるだけでいいんです……俺のちんぽ取り合って搾り取ってくれたら……」 「どんな想像してんだよ。取り合いなんてしねえし舐めもしねえよ」  俺のツッコミに百瀬は「はぁ……二人組って、マジ燃える」と惚けていて、人の話なんか聞いちゃいない。  俺は人差し指でちょいちょいと近寄るように木野崎を呼ぶ。俺の隣に座っていた木野崎は俺の方を向いて近付き、座りなおす。 「百瀬さん、見て」  俺は木野崎と両手を恋人繋ぎにして顔の前に持ち上げ、ぶちゅっと木野崎に口付けた。 「!?相浦、待っ」  驚いて口を開いた木野崎の口に舌を入れる。 「……!?」  百瀬が目を見開いたままこちらを凝視し、固まっている。  ヌルヌルと舌を合わせながら、上あごを舐め、また舌を絡めとり、舌で舌をフェラするように動かす。 「はっ……む、ちゅっ……目え逸らすなよ」  百瀬に釘を刺すように言い、見せつけるようにキスをする。 「んっ……はっ」  舌先まで硬くした木野崎の舌をチロチロと舐めあげる。 「アンタら……ええ……!?」  百瀬が戸惑いの声を口に出すも、止まらずにキスを見せつける。百瀬の瞳が俺達に釘付けになって、穴が開くほどじっと見つめられる。  長い長いキスをして、ちゅっとリップ音を鳴らして口を離した。  二人の間に唾液が糸を引いて、切れる。 「こういうことなんで。百瀬さん、あんたの入る隙なんかねーよ」  ニヤッと笑って見せると、百瀬は一瞬ボケっとした後、思い切り机を叩いた。  ドンッ。 「百合じゃねーっすか!!!!!」  ぎょっとする俺と木野崎を尻目に百瀬はブツブツと何かを口にする。 「めちゃくちゃ百合じゃんどっちが上か下かもわかんねえほど二人してエロいってそんなのありかよ二人のセックス見てみてぇー観客で良いから見てみてぇーつーかΩとΩが付き合ってる時点でαどもに狙われてその度に嫉妬セックスとかしてんじゃねーのかフツーのセックスより倍燃えるだろそんなん……」 「も、百瀬さん?」 「ハッ」  戸惑いながら声をかけた俺に、百瀬がハッと意識を取り戻す。 「琉人君、光輝君……」 「どうしました?」 「勃起した」 「は?」 「二人のドエロいキス見てたら勃ったんでトイレ行ってきます」  こいつは店のトイレで抜くつもりなんだろうか。  トイレに立った百瀬の股間は、確かにキツそうに股間を膨らませていた。

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