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第14話 ※
「へへ、君……可愛いね」
なんか中年男性の様子がおかしいな、と思っていたら。
いきなり空き教室に突き飛ばされて、馬乗りになられる。
「メイドなんていやらしい格好してる君が悪いんだよ、こんなフリフリのミニスカート履いて……」
太ももをすりすりと撫でられて鳥肌が立つ。
何だこの人、めちゃくちゃ気持ち悪い。
道案内なんてみすみす請け負ったことを後悔する。
肩をガッチリと押さえつけられて脂ぎった顔をゆっくりと近づけてくる。
臭い息が顔にかかって、分厚い唇を無理やり押し付けられた。
「んんっ、」
ぺろぺろと唇に舌をねじ込んで来ようとする男に、ぐっと唇を噛んで抵抗する。
「はあ……はあっ、おじさん、抵抗されるのも好きなんだ」
「やめっ!」
叫ぼうとすると片手で口を抑え込まれる。
もう片方の手で、また太ももを撫でられる。スカートが捲りあがってパンツが露になった。
「なっ、君、男なのかっ!」
驚いたようにまじまじとソコを見る男。
よかった、これで解放してもらえる――。
そう思ったのもつかの間、「君なら男でも全然問題ないなあ……」とにやにやし出す男に、ゾッとして冷や汗が吹き出る。
誰か助けて、恐怖に泣きそうになって涙が滲む。
男を睨みつけるが、それさえもそそられるとでも言いたげにニタニタと笑っていて気味が悪い。
パンツの上からソコを触られて、ヒュっと息が詰まる。
「へへ、可愛いなあ」
「んんーっ」
抵抗しようとしても男の力が強くて逃げられない。このおっさん、本当にムカつく。
パンツに手を賭けられ、ずり下ろされそうになる。
その瞬間、ガラッと空き教室のドアが開いた。
「っ!おっさん、何してんだ!」
聡介が血相を変えて、馬乗りになっていた男を引き剥がす。
俺を見て、言葉を失った様だった。
寄れた口紅、めくれ上がったスカートにずり下がりかかったパンツ。
「おまえ、ふざけんなよ!」
今までに見た事ないような鬼みたいな形相で男の胸ぐらを掴んで殴り掛かろうとする聡介を必死で止める。
「やめて!聡介っ」
思わず、聡介、と呼んでしまった。
抱き着いて全力で止める僕の様子になんとか踏みとどまってくれて、ぐっと拳を握りながらもゆっくりと腕を下ろす。
「ひいい、っ」
男は情けない声を上げて走って逃げていく。
「あいつ警察にっ」
「やめて!僕が……嫌だ」
「っ、そうか、分かった」
流石に男が男に襲われたと言うのは、周りにも家族にも知られたくない。
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