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地球とさよならをした男 3
もっと上手くいっていればと思う場面の全てが、自分の責任だけではないような気がするけど
生まれる時代が違ったら、国や街が違ったら。
別の性格や性質だったら。
そんな根本を覆さなければならない事ばかりで、
だったらやっぱりこの人生はこれで上等だったのだと諦める他ない。
一人で過ごしていた部屋は荒れ果て、今はもう誰もいないだろう。
看取ってくれる人もいない。
病室には自分以外誰もいなかった。
それは凄く寂しくて辛い事だけれど、
人生を一からやり直すことなんてそもそもできないのだ。
「はぁ……」
もう言葉すら出てこなかった。
身体が深い闇に沈んでいくみたい。
大した情報のない天井を閉じ込めるように、視界が狭まっていく。
ぴ、ぴ、と響く電子音。
それがどんどん遠のいていった。
俺はもう、死ぬ。
さようなら。
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