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花の主人公 5

何故自分がBLゲームの世界にやって来たのか、そして何故そんなゲームの主人公と同じ部屋になってしまったのかは分からない。 上位貴族、高身長、顔もまあ…モブ顔だけど悪くはないのかな?ぐらいのステータスだったイオンは もしかすると自分は攻略対象とかいうやつなのだろうかと震えて眠れなかったが リウムは主人公というのを抜きにすれば普通に可愛らしいし、無くは無いかと行ったところだった。 しかしイオンもホモだからと言って別に誰でもいいわけでは無い。 どちらかといえば性格重視な方だと自覚していたし、 何ならめちゃくちゃ仲の良い友達だったのにある日突然好きなのかもと気付いてしまうような面倒なタイプなので あまり上手く行った試しが無かったのだった。 同性愛者がマイノリティな世界では、友達だと思った奴に性的に見られている、なんて恐怖でしかなくて 気持ちを言い出せずに彼女との惚気話を聞かされるという苦い思い出だってあるくらいだ。 成功体験など存在しない井小田の前途多難な恋愛遍歴の所為で、 イオンも若干恋愛に億劫になっているのも事実だった。 折角イケメンだらけのBLゲームの世界で、同性愛しか存在していなくて更には家系的にも引く手数多という 高級ホテルの朝食バイキングぐらいには選び放題な状況だというのに。 だけど、そういう状況だからこそチャンスはいくらでもあるだろうとたかを括り イオンはとりあえずは編入したてで戸惑っているリウムの世話を焼いてやる事にした。 彼は主人公でなくてもルームメイトで、 広すぎる学園のどこに教室があるのかさえ分かっていないし、放っておくなんていう選択肢は流石に存在していない。 それは勿論人として、だ。

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