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ミステリアスな同級生 2

「あいつはなんだか“少し違う”ようだな…早速話題になっていたようだし」 彼はキラついたこの世界の人間の中では珍しく、暗く沈んでいるようにも見える瞳でどことしれない何もない空間を眺めている。 少しぼさっとなった黒髪といい、表情の分かり辛い瓶底の眼鏡といい、そもそもそんなに表情が変わらない様といい、 若干彼だけ作画が違うような感じもした。 「……わかるの?」 「お前にもわかるのか?」 ローラはレンズ越しの濃紺の瞳をこちらに向けてくる。 そのオーラはなんだかリウムやレンシアのような重要キャラ補正とはまた違うようなものを醸し出しており イオンはつい言い淀んでしまった。 「…な……なんと…なくだけど…」 「ふむ。その感覚は間違っちゃない。 奴は何か大きな事をしでかすだろう」 「それも占い…?」 「占いではない統計学だ。だがまぁこれはただの勘と経験則だな。 おかしいと思わないか? このタイミングで編入して来て、次期皇帝と早速接触し、お前と同じ部屋だ」 メタ的な目線という事を除けば全く同じ事を思っていたイオンは、ローラへと近付いた。 彼は、予想の魔法といういわば占いのようなものを得意としているらしかったが 現代日本においても魔法が横行しているこの世界においても やはり占いというのは底知れぬものだと感じられる。 「大きな事がいい事なのか悪い事なのかはわからないがな… そもそもいいだの悪いだの勝手に評価しているのは人間で、起きる出来事は全て必要だから起きているわけだ。 理由はどう後付けるかだ」 ローラは濃紺の瞳をぐるぐるさせながらも呟いた。 その威圧感に若干竦みそうになりながらも、イオンは眉根を寄せる。 「………それを言ったら…元も子もないのでは…」 「おお。そりゃそうじゃ」 何故かパチンと指を鳴らしながら真顔で頷いているローラに、変な人だなと思うと同時に やはり占いとはバーナム効果なのではないかと疑ってしまう。

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