26 / 513

ミステリアスな同級生 3

「だが聞きたまえ、肝心なのはお前があの子の近くに配置されているという事だ。」 「俺が…巻き込まれるって事?」 「忌憚無く言えばそうだな」 ローラの言葉にはイオンも思わず腕を組んでしまう。 もしもこの世界が本当にBLゲームなのだとしたら、 主人公のリウムは最終的には誰かとイイカンジになるという事だ。 誰かとイイカンジになれば当然そうじゃなくなる人間も出てくるわけで、 後者の人間にとっては悪いこと、という事なのだろうか。 「それはやっぱり…俺が攻略対象って事なのかな…」 「コーリャク大将?」 「あ…いや…こっちの話で…」 雰囲気的になんでも分かっていそうなローラにはついメタ発言をしてしまいそうになるが、彼は案の定謎の寿司屋を召喚している。 「…でも…もしそうなったとしても、リウムが幸せならいいんじゃないかとは思うよ…」 例えもし自分が選ばれなくても、誰かと好き同士になれるのであれば喜ばしい事だ。 そもそもリウムを恋愛的に好きになれるかどうかもまだわからないし、 そうだったとしても好きな人が幸せなら地獄とは言ってはいけない気がするし。 「ふむ…お前の世界の概念はイマイチわからんが、ここはそんなに甘くないぞ」 しかしローラは釘を刺すような事を言うのだ。 「イオン君、君がいたかもしれない高次元世界ではスイッチさえ押せば何度もやり直せるのかもしれないが ここは物理世界の“現実”だ」 「…え……?」 「分かるだろう、死がある。 死というのはどこの世界も同じだ。取り返しが付かず、元には戻れない パラレルワールドとして無限に選択肢が用意されども、経験できるものは一つしかない 死ぬまで一直線…ifは無しだ」 自分以上にメタ発言をしてくるローラに、イオンは戸惑ってしまった。 「……ローラは何者なんだ…?この世界がBLゲームだって知ってるのか?」 「びーえるげーむ…?」 ローラは眉根を寄せる。 「この世界が別世界からどう見えているのかなんて知った事ではないが、混濁しているようだから教えてやろう」 彼はそう言うと勝手にイオンの机に向き直り、置いてあったノートを広げた。

ともだちにシェアしよう!