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ミステリアスな同級生 4
「いいかね、“全ての世界は同時に存在している”
それは君が晩御飯をA定食にしたかB定食にしたかだけでは無く
異なる世界のすべて、をさしている」
急に大宇宙的な話を始めるローラに、イオンは慌てて机に近付き
彼が勝手にペンを走らせているノートを見下ろした。
「例えば君が夢を見ている時、その夢の世界はどこにあると思う?」
「どこって……頭の中?」
「半分正解。
“夢の世界は同時に並行して存在している”
君の頭の中はただそれを受信してその世界を映し出しているスクリーンに過ぎない
実際の夢の世界はこの世界に重なるように存在しているが、我々はそれを完璧には感知できない。
だが、ある条件を満たせば覗き見る事はできる。
夢の世界であれば眠っているという状態、正しく言えばレム睡眠時に調節された脳波によって、だが…」
「……えーと…スピリチュアル?」
難しい話にイオンが苦笑するとローラはこちらをじろっと睨んでくる。
「物理的な知覚で確かめられるものしか真実だと思えないなら
感情や気持ちは目に見えないから幻想なのかも知れないな。
皮膚が麻痺している人間にとって物質は幻か?
盲目にとっては世界そのものが空想だと?」
「……悪かったよ…ごめん…」
「よろしい。今言ったように感知できないが存在している世界、それがパラレルワールド。もしくは“異世界”という事だ」
「………つまりローラの概念でいうと…この世界と俺がいた世界は同時に…確かに…存在してるって事?」
「そうなるな」
急に現れて急に世界の概念を紐解き始めたローラに戸惑いつつも、なんと無く言わんとしている事は分かる気がしてしまう。
何故ならイオンは確かにこの世界ではない世界で生きていた記憶があるからだ。
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