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ミステリアスな同級生 5
「俺がいた世界だとここは…ゲームの世界のような気がしてて…
ゲームの世界と現実は確かに同時に存在しているといえばそうだけどさ…」
「お前のいうゲームが何かは分からないが、さっきの夢が良い例だ。
夢は人工的な作り物のようであってそうではない。
脳が勝手に作っていると錯覚しているだけで、実際は他所の世界を覗いているだけだ」
「で…でも、ゲームとか物語って誰かが作っているんだよ…?」
「どうやって?」
「どうやってって…頭で、考えて?」
「何故頭で考えられるんだ?」
「エ…?っと…?」
「目に見えないのに、実際体験したわけでもないのに
どうして別の世界を想像できるんだ」
そんな事は考えたこともなかった。
そういうもの、としか答えられそうも無くてイオンは言葉を詰まらせる。
「脳は受信機だ。別の世界の電波を受信して、それを投影している。
さも何もないところから湧き出て来たように、な。
だが何もないところからどうやって何かが湧き出すというんだ。
ましてや夢の世界なんて現実ではあり得ないことばかりが起こるだろ?
経験したことも無いのに分かりようもないことを、だ!」
ローラはそう言いながらノートに図解を描いた。
楽しそうに踊りほうけているクマから矢印が伸び、眠っているウサギの頭に突き刺さっている。
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