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ミステリアスな同級生 7
「……変…だよね」
「珍しいが変ではない。理論上可能だ
前世の記憶があるという人間は少なくとも存在しているからな」
「あー…確かにいるよねそういう人…」
「だが他所の世界から来たというのはなかなかに興味深いな」
「そうなの?」
「勿論肉体はこちらの世界で構築されているだろうから、意識や記憶だけ持ってくるのも不可能では無いが…
なかなかできる事では無いように思う…」
やりたくてやったわけでは無いのだが、ローラはイオンの胸の辺りを人差し指で突いている。
拗らせすぎて触られるだけでちょっとドキドキしてしまう。
「まあ、何はともあれ
悔いのないようにしたまえ。
また死んでも同じように出来るとは限らないぞ」
彼はそう言いながら窓を開け放つと上を見上げている。
「…ふむ、そろそろ終わったかな…」
「あはは…」
「じゃあな。しっかりやれよ」
そういうとローラは窓から飛び出していってしまい、イオンはため息をこぼした。
「はぁ…なんだったんだ……」
急に難しい話をされて頭痛がしそうだったが、彼が言いたかったのは多分
ゲームだからと言って適当に過ごすのではなく
一度きりの人生を謳歌せよ
ということなのかもしれない。
彼が開けっ放しにしていった窓を閉めてカーテンを引いた。
でもそれは確かに、そうだ。
この世界が本当に現実なのか、夢の世界なのか、作り物なのかはわからない。
だけど、やり直しが効かないのであれば悔いのない選択をしなければならないだろう。
「……とりあえず…寝よう…」
落ち着くとますます疲労を思い出し、イオンは早々に寝る事にした。
どんな世界でもやっぱり健康第一で、
その為に睡眠は超絶大切だと身を持って知っているので。
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