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緋色の殿下 1

翌朝イオンはリウムと共に食堂へと赴き朝食をとろうとしたが、食堂へ入るや否や注目が集まり 歩く度にリウムは誰かしらに声をかけられている。 昨日編入して来たばかりなのに、リウムは早速大人気のようだ。 移動する度に知り合いを増やしているらしいリウムは さすが主人公と言ったところだが、昨日のローラの話を信じるとすると リウムという人間は実際に現実に存在している事になる。 誰かが考えた、ぼくのかんがえた最強の美少年、ではなく そのぼくという作者に彼という電波が届いているという事なのだろうか。 でも、現代日本でもそんなのは漫画のキャラだろうというような人間は確かに少なからず存在しているのだ。 文武両道で、人生の汚点など一切なく、 人脈やタイミングに富み成功しか考えられないようなある意味では数奇な人生を歩んでいる人間。 それはまさしく、選ばれている、と言えるのかもしれなくて。 主人公が選ばれているのではなく、選ばれし人間というのが主人公になり得るのであれば 現代日本で漫画キャラのような生き方をしていた人間は 別世界では本当に物語の主人公を張っているのかもしれない。 そう言われるとなんとなく納得してしまう。 「リウムくん!あとで部室に来てくれたまえ!」 「あ、うん…」 「おーい!リウム〜昨日の約束忘れんなよー」 「はーい…」 教室へと歩く道中にも声をかけられまくっているリウムに 段々隣にいていいものかとイオンは不安に思えて来てしまう。 「……すっかり人気者だねぇ…」 「ご…ごめんね?うるさくして…」 「ううん、いい事じゃん?」 リウムは不安げにこちらを見上げてくるが、別に気を悪くしたわけではないのだ。 本当に見事なまでの主役っぷりに感動すら覚えているだけで。 しかしリウムは何故かうかない顔をして俯きがちになっている。

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