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緋色の殿下 2
「…なんか…昔からそうなんだ…
どうしてみんなこんなに僕に構うんだろうね…」
側から見れば、世界に愛されてんねえとしか思えないが
本人からすると不思議なのかもしれない。
「僕…特別綺麗なわけでも…すごいわけでもないのに…」
「そう…かなぁ…?なんかオーラがあるというか…」
「オーラ…?魔粒子のこと…?」
「魔粒子…ってなんだっけ…」
まだ習っていない単語を出すのはやめて欲しいとイオンが苦笑していると、リウムは眉を下げて微笑んだ。
「なんか…イオンくんと話してると不思議な感じがする…」
「あら…ごめんねぇ…アタシ変だったかしら」
「ふふ違うよ、そうじゃなくって…なんだろう、うまく言葉にできないけど…
なんだか…別の世界にいるみたいで……」
思わずイオンがぽかんとしてしまうと彼は立ち止まり
少し慌てた様子で片手を動かしている。
「えっと、悪口ってわけじゃないんだよぅ…?
なんていうか、色んなことを知っていそうというか、お、大人っぽいっていうか…!」
「うんうん…わかっとるよぅ…」
「違う違う…お年寄りって意味じゃなくってね?」
必死に弁明してくるリウムだったが、イオンは思わず彼の頭を撫でてしまった。
「悪い風には捉えてないよ。良い意味だよね?」
「…うん、もちろん…」
「信頼してくれてるってことかな、ありがとうね」
ローラにも早々に勘付かれていたし、もしかすると彼も薄っすら感じ取っているのかもしれない。
一応18年この世界の人間としてやっているものの、
やっぱり35年あまりの地球人が滲み出ているのかも。
誰も知り合いのいない全くの新しい環境でもいじられキャラだと勘付かれて
結局どこに行っても同じようなポジションに落とし込まれるみたいに。
「あるよね…、なんか…良い事のはずなのに疲れちゃう時ってさ」
大人しく頭を撫でられているリウムも、もしかすると主人公体質に辟易している部分もあるのかもしれない。
自分とは全く真逆の性質とはいえそう思うと少し同情も生まれてしまうのだった。
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