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生まれ変わり 1

リウムの人気っぷりは続いていて、彼は色んなところに引っ張りだこなのか忙しくしているらしく 寮の部屋にいる時間は結構短かった。 主人公という特性なのか色んなことがそこそこのクオリティでこなせるという彼は 生徒のみならず教師や用務員達からも慕われ 部活やら同好会やら謎の活動やらを手伝わされ そこで色んな人間と友好度ないし好感度を高めつつあるらしい。 イオンは同室特権で彼の愚痴を聞いてやったり、一緒に宿題をやったりとそこそこ仲良くしていたし 朝教室まで一緒に行くのは日課になりつつあった。 だけど学園内での彼の動向は把握しきれないし、把握してもしょうがないので イオンはイオンで青春を送ろうと頑張ってはいた。 しかし周りは男だらけとはいえ、 選び放題すぎて逆に選べないという現象なのか未だに好きな人の一人もできなかったが 学生の本分は勉学であると言わんばかりに勉強に勤しんでみたりする所存だった。 「人間がどう生まれるかだって?」 またもや部屋に逃避してきたローラにやっぱり躓いていた 誕生の奇跡について尋ねてみると彼は呆れたように口を歪めた。 「だって…俺の世界と全然違うし……」 こればかりはつい口ごもってしまう。 思い切って聞いてみたもののやはり卑猥な質問だっただろうか。 ローラは勝手に座っていた机に頬杖をつくと、ふうん、と呟いている。 「お前の世界ではどうやって生まれるんだ」 「エッ…えっと……ま、まず男同士では無理で……」 「ふむ?興味深いね」 「いやいいんだよこっちの話は…」 想像するとつい変な感じになってしまい、イオンは話を中断してしまった。 女性という存在から説明せねばならないし。

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