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生まれ変わり 5
「分かりきっている事を質問されるのは俺は別に構わないが…
そもそも何故急に?好きなヤツでもできたのか?」
「い…いや…そういうわけじゃなくて…授業とかで行き詰まるから…
だって一般常識なんでしょ?
ここが分からないと意外と色んなところに響いてくるんだよ…スキルツリーみたいに一箇所取ってないとその下全部取れないとかあるじゃん…」
それは本当のことだったが、ローラは何故か疑うようにじろりと睨んでくる。
「その…“生まれ変わり”とかさ…自分もある意味そうなのかなって思ったりすると…」
「ふむ。先程言ったようにお前は記憶や意識を持ってきている。
だが生まれ変わりというのは魂の話で、基本的には別の存在だ。
お前はどちらかというと“コピー”というか…、
量子もつれによって転送されてきたとすれば…転写されているというかな…
まあ記憶を持っているだけで別の人間である事には代わりないが…」
「人をFAXみたいに…
魂って、意識ってことじゃないの?」
「いや違う。魂というのは具体的かつ人間的な意図や思想が反映されるものでは無い。
いわば識別番号みたいなものだ」
ローラはノートを捲って次のページに何か描き始める。
普通に授業で使っているノートなので教師に見つかったら落書きしていると怒られそうだ。
「例えばこのラダプくんの魂の数字が5052414441だとする…」
「ラダプくんは…何?」
「俺のオリキャラだ」
ローラが描いているのは小2女子の筆箱に描いてありそうなやたらと目がキラキラしているウサギらしきキャラクターだった。
上に数字が書き足されていく。
「彼を彼たらしめるもの、俺とはなんなのか、
信仰や哲学を無視して答えるとするならば、この数式という事になる。」
「マイナンバーみたいな事かなぁ」
「他の数式は生きている上で多少は変えられる。
肉体的情報、性格や思想は他のエネルギーに触れれば徐々に変化していくし、
元々持っていた情報が丸ごと書き換わる事もある。
前は好きだったが今はそうでもないとか、
太ったり痩せたりも肉体の数式の変化によるものだと説明できる。
だがこの魂の数字は死ぬまで変わることはない。例え記憶喪失になっても名前が変わってもこの数字を持つ限り彼はラダプくんだ」
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