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生まれ変わり 6
「なるほど…じゃあ生まれ変わりっていうのは同じ数字を持って生まれてきたってこと?」
「半分正解。何故なら全く同じということはあり得ない。
魂の数式は全て違う。
それはもう存在していない魂であったとしても、使い回されることはない。
全く同じ数字を持って生まれれば蘇った事になってしまうからな。
だが近しい、或いは90%くらい一致している、という事はある」
ローラはラダプくんの横にまた別のウサギを描き始めた。
「この別の存在の数式とラダプくんの持つ数式の一部が一致しているとすれば、二人の魂は“同じ要素”を持っていることになる。
これは説明の為の適当な数式だが、実際の魂の数式はもっと膨大だ。
人間が全て読み解くのは不可能なほどな。
だから同じ配列を持つ個体が複数存在するのも不思議ではない。
それ故に何故“生まれ変わり”や“血統”が持て囃されているかというと、レアな数式が一致しているからだと考えられる」
「レアな数式?」
「例えばラダプくんの数式が5052“A”414441だったとして、このA要素を彼が引き継いでいればより同じ性質を持った個体だと言えるだろう。
このAが表す要素がなんなのか、解明は難しいが
多くの人間がそれは魔法に関係すると思っている」
「……癒しの魔法、とか?」
「そうだな。癒しの魔法を扱える人間はかなり少ない。
癒しの魔法をもたらした“大天使”の数式に例えば“FFFFF”があったとして、“FF”や“FFF”くらいまで一致した人間は数百人いても
“FFFFF“という同じ配列を持っている人間は限られるというこだ。
配列が近いほど力が強いのかどうかは定かではないが“要素を持っている”事には変わりない。」
「…癒しの魔法が使える時点で少なからず大天使の要素を持っているってことかな」
「左様。現時点では正確に数式を目視することはできないからそういう物理的な要素で判断するしかないということだな。」
イオンは髪色や顔の作りや血液型やDNAで判断する遺伝子がどうとかという話の魂版だと自分の中で解釈しておいた。
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