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生まれ変わり 7
「魔法は神から授かったものだが、
癒しの魔法は与えられたわけではなく“貸してもらった”ものだと言われている。
だから人間のものではなく、未だに神のものではあるので丁重に扱われているという事だ。
まあここまで理解して信仰しているのは年寄りぐらいなもので若者からすれば、魔法ガチャ当たった〜くらいのものだと思うが…」
多少はゲームの知識が入っているらしいローラにイオンは苦笑した。
「でもチート的な魔法である事には間違いないじゃん
怪我とか病気とか治っちゃうって事だよね?」
「そうだな…だがそんなに都合がいいものでもない
“大天使の生まれ変わり”以外で少し癒し魔法が使えるというものは
本当にちょっとした擦り傷の修復や、或いは予防程度にしかならないと聞くぞ。
それに癒しの魔法使いは無闇に力を使い回っているわけではない。
基本的には皇帝家のお抱えになり、皇族の許可が降りた場合のみに使う事になる」
「皇帝が独り占めしてるって事…?」
「安直に考えれば、な。だが考えてもみろ
怪我や病気を治せる力を欲する時はどんな時だ?
それを求める存在はどんな心理状況だと思う?」
ローラの質問にイオンは少し思考を巡らせた。
自分が今にも死にそうな時、
或いは家族や友人を助けたい、と思う時だろうか。
もう助からないと余命宣告された時、とか。
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