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癒しの魔法 2

「あんまりいい響きではないよね…」 この世界でのテストが現代日本と同じかどうかは分からないが、 イヴィトは頭を抱えていてテストが嫌なのはどの世界も共通らしい。 「数値の伸び率が悪かったら追加補習やって…」 「…数値って…魔力だよね」 数値が伸びているかどうかなんて自分では全く分からないが、補習という概念も存在しているらしい。 魔力を強化するための修行みたいな事をさせられるのだろうか。 「精神と時の部屋とかで瞑想とかかな…ちょっと見てみたい気もする…」 「何言っとんの。めちゃくちゃ怒られるに決まってるやん…」 イヴィトは毎日喧嘩とか買っていそうな顔立ちなのに泣きそうな声を出している。 そんな彼の背後から、食事の乗ったトレーを持ったリウムが現れた。 彼はテーブルの上にトレーを置くとイオンの隣に座った。 「なんの話ー?」 「り、リウムくん」 相変わらず一人だけ作画の線が違いそうなくらいのオーラを放つリウムにイヴィトは驚いており 友達のそういう反応は扱いに困るが、リウムの前では大体の人間がそんな調子なのでもう慣れてきているイオンだった。 「定期テストだるいねって話」 「てすと?」 リウムは不思議そうに首を傾けている。 「そういうのもあるんだ?」 「ね。俺も今知った」 「まぁ…リウムくんは編入してきたばかりやから知らなくて当然かもしれんけど…」 「何があるの? 入学する前にペーパーテストがあったけど、あれと同じ?」 「うん、そんな感じやなー。あとは数値を測ったり…実技もちょっとあるかな」 「じゃあちゃんと勉強しておかないとだねー」 リウムは昼食を口に運びながらも頷いた。 彼はそれどころじゃ無いくらい忙しく動き回っていて 部屋でも自習している姿など見た事がなかったが、 多分主人公だから成績も良いんだろうなと思ってしまうイオンだった。

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