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癒しの魔法 3

「ペーパーテストよりもやっぱり魔力数値の方が大事やな… 分野毎に測られるから、どっちもちゃんとあげておかんと」 「僕もう一個が何か定まってないんだけどね……」 肩を竦めているリウムは、 学園にやってきてもう1ヶ月近く経とうとしているものの未だに光の授業しか行っていないようだった。 「そんなに分からないものなんだ?」 「うん…何回も測ってはいるんだけど… 魔力の大半を占めているものがぼやっとしてて性質が分からないんだって… やっぱり…僕は人と比べて魔力が薄いんじゃないかな…」 魔力がどうやって測られているのかはまた解説屋ローラに聞かなければ分からなさそうだったが、 リウムは少し落ち込んでいるようにも見える。 「…でも、光の授業でもすごく優秀だって聞いたで? 薄いって事はないんとちゃう?」 「うーん…でも……」 イヴィトはフォローしていて、イオンもそれは同意だった。 劣等生かと思いきやあり得ない力を持っているのが主人公というものである。 「例え薄くたって良くね?魔法が全てじゃないっしょ」 彼の人気者度合いは魔法云々ではない。 それが魂の数式になんらかの主人公配列が入っているからという事なのかもしれないし。 「頑張ってるって事には変わりないじゃん?」 「…ん…ありがとう……イオンくん…」 リウムはこちらを見上げてくると眉を下げて微笑んだ。 「出来ることからしていけば良いのよ」 彼の頭を撫でてやると、リウムは心地良さそうに目を細めている。 小さな頭にくるっとして輝いている瞳、なんだか小動物のようでついそうしたくなってしまうのだ。

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