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さよなら青春 2

「命を削る…?」 「おん。癒しの魔法についてはまだあんまり解明されていないけど 自分の生命エネルギーを分け与えるようなイメージ? 命を救うために命を削ってちゃ世話ないよねぇ」 ははは、と乾いた笑いをあげている彼は一応医務室に在中しているお医者様であるはずだが 若干配慮に欠けた発言にイオンは肩を竦めた。 「とは言っても魔力切れなんてそーそー起こることはないよぉ 人間って賢くてねぇそもそも力を使いすぎないように身体にリミッター機能みたいなのがあるわけだなぁ わざとリミッターを外し続けない限り普通こうはならんのよ」 「常に限界突破してるってことですか…?」 「常にかどうかは知らんけど常習ではあるだろぉね」 医務員はそう言いながらも布団を捲ってレンシアの片手を取り出すと容赦なく注射針をぶっ刺している。 その雑な所作に大丈夫かと不安に思うイオンだったが、限界突破という言葉には頷ける部分があった。 図書室で勉強に明け暮れていたレンシアは、魔法云々というよりも普通に肉体的に限界を越えていそうだった。 エナジードリンクとかで誤魔化して残業し続けるブラック企業戦士のように。 「だからちゃんと休めって言ったのに…」 心身共に限界を越えているところ命を削る魔法を使い、 婚約者に怒鳴られて彼はもう本当に燃え尽きてしまったのだろう。 こんな事を繰り返せば井小田のように変な病気にかかる事請け合いだ。 「彼が助けた子は全然平気そぉだったよぉ でもね、精霊を呼んじゃったみたいでねぇ。暫く隔離処置だねぇ」 「精霊…?」 「この子もやばいかもね。 よりにもよって疎通に光に癒しに…と三つの魔法を授かっちゃってる。 精霊にとっては是非とも戴いてみたいご馳走だろうねぇ」 ローラが精霊は魔法を食べる、と言っていた。 現代日本では精霊とは結構良いもののようなイメージだったが、 この世界だと恐ろしい怪物なのだろうか。

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