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さよなら青春 3

「テスト前は多いんだよねぇ精霊を呼びかけるコ。 とは言ってもなかなか簡単に呼べるわけじゃないんだけどねぇ」 スタンドには液体の入った袋のようなものがぶら下げられ、 そこから伸びた管はレンシアの細い手首に続いている。 魔法の世界でも、やっぱり肉体を治す主な方法は自己回復力で、医療はそれをサポートする事しか出来ないのかもしれない。 「よし、じゃあまぁ暫く適当に様子見とくよ。 すぐすぐ命に関わるような事はないから安心しなさい。たぶん 君は授業に戻んなさい」 適当だの多分だの不安にさせる事を言われるが 自分にはもう何もできることがないと悟りイオンは椅子から立ち上がった。 「…よろしくお願いします…アニーフ先生…」 「んん。まぁー…そんな顔しなさんな… 彼がスカイ家の婚約者じゃなかったらば先生も大いに応援できるんだけどねぇ」 「はい…?」 「でも良いんじゃないー? 禁断の恋…ってやつぅ?青春だねぇ」 「何言ってるんすか……」 つい先程青春を失ってしまったイオンは海よりも深いため息を溢しながら背中を丸めて医務室を立ち去った。 自分の行いは間違っていなかったとは思いはするものの、 もっと上手いやりようがあったのではと考えてしまう。 重たい心と比例するように、なんだかどっと疲れた気がして イオンは授業をサボって自室で寝ていることにしようかと寮に向かって歩き出す。 どんなに過去に戻りたくても戻れない事を痛感しているイオンは どうせ村八分になるんだし、と諦めてしまうのだった。

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