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さよなら青春 5

ずっと、マイノリティを受け入れてくれない社会が悪いとか常識が悪いとか、世界が悪いと思っていたけど 文化も常識も何もかも違う世界に来たってこうなってしまうのであれば やっぱり本当は、自分が悪いのだろうか。 そう思うと、ただ懸命だったはずの井小田もイオンも何も報われない気がしてしまう。 本当に泣いてしまいそうになりながらパンを齧っていると、 どか、と目の前に勢いよくトレーが置かれてびくりと身体を震わせる。 恐る恐る顔を上げると、分厚い眼鏡をかけた男子生徒がこちらを見下ろしていた。 「オッハー」 「え…懐かし…」 思わず突っ込んでしまうと、ローラはイオンの前の席に腰を下ろした。 何も言わずにスプーンを手に取ってスープを飲み始める彼に、イオンは動揺してしまう。 「ローラ…あの……」 「あ!いたいた!」 元気な声と共にまた誰かが駆け寄ってきた。 彼は同じ机の上に食事のトレーを静かに置くと笑顔を向けてくる。 「おはよーイオン」 「い…イヴィト…」 「昨日寝れた? 俺さーシャンデリアが降ってきた時のこと何回も思い出してやなー… ドキドキして全然眠れんかったんよね」 イヴィトは朝に相応しい爽やかな笑顔を浮かべながらもローラの隣に腰を下ろしている。 イオンが何も言えなくなっていると、ローラは隣に座ったイヴィトをじっと睨んでおり イヴィトはそれに気付くと苦笑した。 「え、ええっと…隣いい?サンイヴン…くん…?」 「ローラでいいぞぉ?」 ローラは真顔だったが口調だけは友好的である。 イヴィトはホッとしたように笑顔を浮かべると、朝食のパンをちぎり上品に食し始める。

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