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さよなら青春 6

まるで何事も無かったように接してくれる二人だったが、遠巻きの生徒達はヒソヒソと話している。 彼らだって貴族の子息で、 反逆者のイオンの仲間だと思われればもしかすると立場が危ないかもしれないのに。 「ふ…二人とも…なんで……」 「なんでとはなんだ?誰かここに座る予定だったのか?」 「そうじゃなくて…お、俺と話してたら…よく思われないんじゃ…」 「なんで?友達と喋ってるだけやん。そうよな?ローラくん」 「無論だ」 イヴィトはのほほんと微笑み、ローラは真顔で頷いている。 そんないつも通りの二人に、視界が水に浸かっているように滲んでいってしまう。 「う…うぅぅ…ふたりともぉ……」 「え!?どしたん!?」 「……おい泣くなよ…虐めてるみたいだろ…」 「お…俺ぇ…こんな風に…やさしぐされだごどなんがなぐでぇ……っ」 「刑務所にでも入ってたのか…?」 「こ、これ使うて!?」 ボロボロと泣き始めるイオンにイヴィトは慌ててハンカチを差し出してくれる。 友達にこんなに優しくしてもらった事なんて記憶の限り存在しておらず、 イオンは嗚咽しながらも泣き散らかしてしまうのだった。

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