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精霊騒ぎ 3
命を削るほどの努力、いい大学や企業に入るために無理をするような事は地球でもあるあるだ。
どの世界もそれが変わらないと思うと少し虚しいような気もした。
「より豊かに生きる為のはずの成績や仕事で…
命を削ってちゃ本末転倒だよなぁ…」
出世をしようなどとは微塵も思っていなかったけど、ブラック企業で命を削り取っていた井小田も似たようなものだ。
それで命を落としたのだから筆頭かもしれない。
「おお。よく分かっているではないかイオンくん」
ローラは指をパチンと鳴らす。
その表情は真顔だが何故か少しテンションが上がっているようだ。
「…ほどほどが一番よなぁ…?」
「そうだぞ?何事もやり過ぎは身を滅ぼす…
セックスだってやり過ぎてみろ。隣人の睡眠を脅かしやがて呪われる事になるんだ」
「な…何言うとんの…?」
相変わらずルームメイトに悩まされているらしいローラの発言にイヴィトは戸惑っている。
サンイヴンくんが起きちゃうよぉじゃねえんだよハゲ、と虚空に暴言を吐いていてローラは相当に苦労しているらしい。
「はは…」
二人のおかげでイオンはようやく気持ちが緩み、自然と笑みを溢す事ができた。
友達って素晴らしい。人間っていいなと思えた瞬間だった。
イオンの走馬灯には絶対に今日の事が出てくるに違いない。
そう思うと井小田の無念を少しは晴らせたのではないだろうか。
「……投獄されても…アタシは二人のこと……っ…友達って思い続けるから……っ」
イオンが再び涙ぐむと、二人はため息を溢している。
「されんって…大丈夫やって…」
「身長187cmの妖精口調は恐怖だなぁ。やめようかな友達…」
「ローラくん!」
「冗談じゃん」
正直二人はそこまで接点はなかったはずだが情緒不安定なイオンを前に漫才コンビを結成し始めて
イオンは泣きながらも笑ってしまうのだった。
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