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精霊騒ぎ 5

なんだか無駄にソワソワしてしまってあまり授業に身が入らなかったが、 クラスの教室に戻ってくるとリウムが駆け寄ってきた。 「イオンくん…っ!」 同室でありながらイオンはその顔を今日初めて見たわけだが、リウムは心配そうに顔を見上げてくる。 「あら…おはようリウム…」 「大丈夫…?体調とか悪いんじゃない? 迷ったけど…起こすのよくないかなと思って…」 「そうだったんだ。ごめんね気遣わせて 俺は全然大丈夫。昨日は授業サボっちゃったけどね」 リウムはどうやら気を遣って隠密行動してくれたらしい。 相変わらず若干他の生徒達からは遠巻きにされているが、ローラ達のおかげで割と立ち直れてはいたので イオンは笑顔を浮かべながらも彼と一緒に机に座った。 「無理…しないでね?昨日…障壁で沢山力使ったと思うし…」 「あぁ。平気だよ。ほとんどイヴィトの魔法だったし」 自分はほんの一端しか担っていない感じがしたが、それでも昨日疲れていたのは魔法を使った所為なのかもしれない、とイオンは考える。 あれをもっと酷使すれば魔力切れになってしまうという事なのだろうか。 「でも…」 「んもう、そこまでヤワじゃないわ!見なさい!この高身長を!」 リウムは暫く心配そうに眉を下げていたが、イオンが冗談を言うとようやく安心したように頷いてくれた。 「ふふ。イオンくん早速ファンクラブ出来てるみたいだし」 「……え?」 「昨日もすごーくかっこよかったよ? エルメーザくんにガツーンと言っててさ。 あれは相当効いてたと思う」 リウムはくすくすと笑っているが そんな事よりもいつの間にか次期皇帝を“くん”呼ばわりしているのはあまりにも主人公すぎて驚いてしまう。 「…も、もしかして皇帝ルート本当にあるのかな…?」 彼だったらどんな人間でもすぐに掌握してしまうのだろうけど、何故だか嫌な予感がしてしまう。 授業が始まってしまいそれ以上話は聞けなかったが、 イオンは今日はなんだか落ち着かない心持ちのままだったので 暫くはちゃんと話を聞いていたがついつい隣を盗み見てしまう。 リウムは何事も無かったように担任の話を聞いている。 触っていなくてもわかる柔らかな栗色の髪は少し長めで、白い頬を隠している。 だけど時折覗く頬はバラ色に染まっていた。 ただ授業を受けているだけなのにわざわざ美しく頬を染めて描いてあるのがなんだか不思議だった。 「……?」 ふと違和感を感じたが、視線に気付いたリウムと目が合ってしまった。 彼は、どうしたの、と言うように軽く首を傾けたがイオンは笑って誤魔化してしまった。 少し疲れが残っているのかもしれない。 今日も早めに寝ようと誓うのだった。

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