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殿下と茶をしばこう! 3
やがて振り返ったエルメーザは、床の上に座り込んでいるイオンを見つけると眉間に皺を寄せた。
「…何をやってるんだ?」
「腰が抜けてるんどす」
何故か舞妓のようになってしまっているイオンにエルメーザは呆れた様子で顎でソファを指した。
「せめて…そこに座れ」
エルメーザの言葉にイオンは頷きながらもどうにか立ち上がってよぼよぼとソファに辿り着く。
「昨日とは雰囲気が違うんだな…妖精口調でもないし」
「あれはその…テンパっていたというか…
その…すみませんでした……
自分も友人も死にかけて…更に目の前で人が死にそうになって…それで頭に血が昇ってしまい…
よくないことを、言いました…」
イオンは背中を丸めながらも謝罪した。
別に次期皇帝レーザーを受けなくても、
明らかに言いすぎてしまったし反省すべきことではあったのだ。
エルメーザは茶器の乗ったトレーを持ってこちらにやって来るとイオンの向かいに腰を下ろしじろっと睨んでくる。
「…そうだな。あんな事を言われたのは初めてだった」
「ご…ごめんなさいごめんなさい」
イオンは思わず両手で顔を覆って早口に謝罪した。
対面するとやはり、もう二度と言えぬようにしてやろう、と切り刻まれてもおかしくないくらいの威圧感があるからだ。
「ふ…いいさ、面白い奴だと思ったよ」
「………エ?」
思わず指の隙間から覗いてしまうと、エルメーザは僅かに頬を緩めている。
それは笑顔とはとても言い難かったが、
多分彼なりに綻んでいるのだろうと思うと何故かだらだらと冷や汗が溢れてきてしまう。
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