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殿下と茶をしばこう! 4
「まあそう怯えるな。ここは皇帝家が使っているプライベートサロンだ。
誰も来ないから安心しろ」
それは完全犯罪が行えそうで全然安心できない気がしたが、
エルメーザは自ら紅茶を注いでくれてイオンに差し出してくれた。
次期皇帝の淹れた紅茶なんて恐れ多すぎたが、
飲まないわけにもいかずイオンは上等そうなカップを見下ろした。
「レンシアとはどういう関係だ?」
「そ…疎通の授業で同じというだけで…その、全然、邪な想いは一切なきで…」
「友達…なのだろう?」
「う、あのそれは、俺が勝手に思っているだけというか…?」
他人のものに手を出すほど飢えてはいないわけだが、昨日の行動は疑われてもおかしくないかもしれない。
暴言は許すがレンシアたそのことは許さんと言われたらどうしようとイオンはソファの隅に縮こまってしまう。
「……私は…レンシアとどう向き合って良いのかがわからない…」
エルメーザがボソリと溢した言葉は、その威厳にはミスマッチな自信なさげなものだった。
「婚約者…なんですよ…ね?」
「国が勝手に決めたことだ…
5年前に連れて来られたレンシアは…
孤児院上がりで礼儀作法もよく知らず…それどころか言葉遣いだって酷いものだった。
こんなちんちくりんを伴侶とするなど…正直…」
エルメーザはため息を溢しながらも首を横に振った。
歩いているだけで常にオーケストラがBGMを生演奏していそうな今のレンシアからは想像も出来なかったが、それはその分彼が努力したという事だろう。
それは、多分今も尚。
「レンシアさんは…自分を削ってでも尽くそうとされているのでは…?
癒しの魔法だって、命を削ることだと…聞きました…」
今思うと、エルメーザが怒ったのももしかするとレンシアの為だったのかもしれない。
無闇に力を使うということはレンシアがどんどんすり減っていくことだから。
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