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殿下と茶をしばこう! 6
「お前はおかしな奴だな……」
「すみませんすみません」
「違うんだ…怒っているわけではない…
なんだか…ふつう…に、話をしてくれているように思えて…」
確かに同級生からすればとても気楽に口を聞ける相手ではないだろう。
楽しそうな学園生活を送る人間達ばかりの中で、本人は孤独を感じているのかも知れない。
そう思うと、クラスメイトに無視をされて一人で泣きながら帰っていた井小田少年と重なってしまうようで。
「あの…よかったら、イオンって呼んでくれませんか?」
「何?」
「イオンくんでもいいですよ、どっちでも。
…で俺も、その、エルメーザくんとか…呼んでもいいっすか…?」
エルメーザは怪訝そうな顔をしていたが、
好きにしろ…、と許可をしてくれた。
「学園では身分は関係ない…だから、ここにいる間は、俺たちは平等というか。
例えば、友達になってもいいわけじゃないですか?」
「………。」
彼は何も言わなかったが、それはきっと戸惑っているだけなのだろうとイオンには分かっていた。
きっと彼にも、せめて少しくらい気持ちを打ち明ける事もできる相手がいれば心が幾分か楽になるに違いない。
友達というのは最高なのだ。
イオンは身を以て知っていた。
「なんでも相談してね!特に恋愛のこととか!?
アタシ友達の恋愛相談聞くのとか夢だったのよ〜」
イオンが両手を組んではしゃいで見せると、エルメーザは目を逸らしてしまった。
だけどその頬は赤く染まっていて、彼は片手で口元を覆っている。
「恋愛のことはよくわからない……す…好きって気持ちがよく…」
「やだ〜ウブ〜!カワイー!」
「か、可愛いは…おかしいだろ……」
緊張し過ぎてイオンはオカマスイッチがなかなか切り替わらずにいたがエルメーザは少し打ち解けてくれたようで良しとすることにした。
これで投獄されずに済みそうで何よりである。
「イオン……くん……」
エルメーザは口元を覆いながらもぼそりと呼んでくれた。
「なぁに?」
「……っ…」
「……えぇ…?」
彼の顔はみるみるうちに赤らんでいって、元々赤い瞳は少し潤んでいるようだった。
まさかとは思うものの、
いやこれは友達が初めて出来た人の反応だと思うことにした。
それはもう必死に。
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