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ようこそ!村八分席へ 2

「エルメーザくんって好きな素粒子何〜?俺ニュートリノ系〜」 ローラは早速馴れ馴れしく意味のわからないことを聞いている。 「ヒッグス粒子…とか…?」 「あーロマンあるよな〜」 何故か答えているエルメーザだったがイオンはもう放っておく事にして、フォークを手に取った。 「二人は…どう、どうやってイオンと友達になれたんだ…?」 「どうやってって…別に普通?やけどなぁ… 俺は同じクラスやし、守護の授業でも一緒やってん」 「ふつうが…わからないんだ」 「あ…そかそかえっと…まずはおはよって話しかけて…」 いきなり重い話をしているエルメーザに、イヴィトは真面目に答えてやっている。 「なんだ。友達が欲しかったのかね?エルメーザくん」 「正直言うとわからない…… 常に生徒の手本となるようにとは心掛けてきたが…それに友達が必要だとは思っていなかった」 「必要っていうか…自然とそうなっとんのが友達と違う?」 「自然と……?」 エルメーザは上品にナイフとフォークで食材を切り分けているが、どことなく深刻そうな顔をしている。 「えーとやから、いろんな人と仲良く出来たら…いいで…いい、よな?っていう」 「仲良く…とはどうすれば?」 「どうって…ええっと…」 次期皇帝の初期のAIみたいな質問に翻弄されているイヴィトにローラは面白そうにニヤついている。 彼は向かいで黙って夕食を口に運んでいたイオンにもその怪しい笑みを向けてくるのだ。 「ひひ。うまくたらし込んだじゃないか。 今朝は投獄だとか言って泣いてたのに」 小声で話しかけてくるローラは朝からずっとそんな調子だった気がして、イオンはつい目を細めてしまう。

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