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大天使がつくられる過程 3
それから入学までの間、レンシアは皇帝家の管轄である屋敷で過ごす事になったが
エルメーザが自ら顔を出すことはほとんどなかった。
契約の魔法の為の“儀式”を行う為に
月に一度は絶対に顔を合わせなければならない為、レンシアは彼の予定の様子を何度も問い合わせて彼に会いに行った。
会ってもエルメーザは全く歓迎してくれず世間話をする間もなく、
時間がないからさっさとしろ、と毎回怒られる。
最初は、そんな態度は無いのではとか、
結婚するんだから少しくらいは仲良くしたいものだとは思ったけれど
彼の心の中に渦巻くものを感じ取ってしまい、何も追求する事が出来なかった。
だけど時々口を滑らせてしまうと、
彼は酷く怒って取り合ってくれなくなるので
孤児院にいた時のようになるべく息を潜めて壁と同化しているようになった。
何かが分かっても、感じても、言ってはいけなくて。
それは身に染みて感じている事だったから。
ハートン学園は、どんなに立場のある貴族でも学園に在学中は平等という決まりがあった。
貴族の家柄同士の余計な角質や策略は勉学の妨げになるから、
というのが初代ハートン公爵の考えのようだったが
流石に皇帝家ともなると少しばかりは特別扱いされてしまうのが現状だ。
学園内にはプライベートサロンを与えられ、
食事なども食堂に赴かずとも別室でとっても良いとされている。
寮の部屋も広々とした一等級の部屋だ。
もちろん彼が住んでいた城ほどでは無いだろうけど、他の生徒に比べれば高待遇である。
レンシアはエルメーザと共にその部屋に入寮して過ごす事になり、
全然距離が縮まっていない中共同生活が始まってしまったのだった。
エルメーザは特別長時間という程もなく普通に自習しているだけだが、頭のつくりが違うのか当然入学時もトップの成績で
学園が始まって以来ずっとそうだった。
魔法の数値も同級生にはダブルスコアをつける程大人顔向けのもので、
そんな人間の隣を歩くにはレンシアも高成績を維持しなければならない。
だけどレンシアは普通の生徒以上に努力しなければとてもではないが追いつけない気がするし、
学校の勉強だけではエルメーザにはついていけなくて
余暇はもちろん睡眠時間を削って勉学や修行に明け暮れる毎日だった。
特にどんなに努力しても癒しの魔法の数値の上がり幅は緩やかで、
癒しの魔法を担当するフェディンに、充分過ぎるほどだ、と褒められても
全然そんなことはない気がしてしまうのだった。
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