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大嵐 3

机の上を片付けてイオンとイヴィトは教室を出た。 隣の部屋から丁度ローラも出てきていて、彼はフードを目深く被り分厚い眼鏡を光らせている。 「ローラの予言がまた当たったね」 廊下の窓の外では雨がじゃじゃ降りになっていて、雷の音も遠くに聞こえている。 「全部統計だ。天気も例外ではない 高い確率の時だけ提示する勝率の良いギャンブルだ。 だが大嵐、というのは少々掛け率が低かったかもしれんな だから魔法だけに頼った“予想”はしたくないんだが…神託はどうにも意識の外側で勝手に発生するからな」 彼は腰に手を当てて何故か偉そうにしている。 「当たってるんならなんでもいいんじゃない?」 イオンが笑うとローラは相変わらず真顔で首を斜めに傾けている。 「当たったかどうかはまだ分からない」 「え?でもすごい雨やん?」 イヴィトが窓の外を指差すが彼は、ふむ、と口を歪めている。 「あ…リチャーデルクスさん…」 廊下の向こうから移動する生徒達と逆行するように誰かがやってきた。 大嵐で空が真っ黒になっているのにも関わらず、彼の金色の髪は太陽のように輝いている。 彼はイオンの前で立ち止まると紫色の瞳をどこか安堵したように細めた。

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