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大嵐 5
しかし、クラスに戻ってもリウムの姿は教室にはなくてその日一日学園内で見かける事はなかった。
いつも色々な事に巻き込まれている主人公体質の彼だから、
見知らぬ所で大冒険をしているのかもしれないけど
流石にイオンは心配になって早めに寮へと戻った。
寮の部屋にもリウムの姿は居なくて、
レンシアに頼まれた通りに彼の机の上に教科書やノートを返しておいたが
やっぱり心配になって探しに行こうと再び校舎へと戻った。
残っている生徒に聞き込みをして回ったが、誰も消息を知らないようだ。
同じ光の魔法の授業を受けているエルメーザなら何か知っているだろうか、とイオンは彼の姿を探すべく
一度連れて行かれた皇帝家のプライベートサロンなるものに行ってみる事にした。
迷路のような学園内で、道順は結構うろ覚えだったが
どうにかそれらしき廊下へと辿り着く。
そこは豪華な作りではあるものの人の姿も気配もほとんどない。
なんだか高級ホテルの廊下みたいだった。
「エルメーザくんいるかな……?」
どうにか皇帝家のプライベートサロンの扉を見つけると、イオンは静かにノックをした。
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