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大嵐 6
しかし返事はない。
だけど、なんとなく扉の向こうから気配を感じる気がしてイオンは腕を組んだ。
ただの気の所為で本当はいないのかもしれないけど、外はザーザー振りだし雷も鳴っているので気付かなかったのかもしれない。
試しにドアノブを回してみると、すんなりと回ってしまう。
イオンは薄く開いたドアの隙間から中を覗き込んだ。
部屋の中は薄暗い。
「いない…かな……?」
部屋の中を見回しながら呟く、と窓際に人影が見えた。
薄暗い部屋の中、
カーテンが開かれたままの窓越しに影のように黒く形作られており
雷が光るとその姿が浮かび上がった。
「……っ、え……」
イオンはその光景に思わず目を見開いて固まってしまう。
それはエルメーザだったが、彼はその腕で誰かを抱き、唇を重ねていた。
だけどその誰か、は彼の婚約者ではなく。
その事実が脳に入り込んだ時、
イオンは慌ててドアを閉めてその場から逃走した。
「え?え?ええ?マジでマジでマジで????」
イオンは乙女のように両手で頬を包みながら廊下を爆走した。
もう一人の人物、は
今まさに探していたリウムだった。
「皇帝ルートに入っちゃってる!!?!?」
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