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錯綜する情報とエンディング 1

翌日、イオンは寝不足の顔を晒しながら一人で朝食を見下ろしていた。 昨日はとてもじゃないけどリウムの顔を見れなかったので早々にベッドに潜り込んだものの全然眠れなかったのだ。 すると同じように寝不足の顔をしたローラがやってきて、 彼は分厚い眼鏡の向こうの瞳の闇をマリアナ海溝くらい深まらせてイオンを睨み下ろしてくる。 「お前のために下ろしてやったぞ」 そう言ってローラは机の上に紙の束を投げてよこした。 エルメーザとリウムがキッスをしているという、皇帝ルート突入イベント的なものを目撃してしまったイオンは 一人ではどうにも抱えきれなかったのだが、こんなスキャンダルは国に関わる事だ。 しかし昨日あの後寮の廊下で出会したローラは、イオンの地獄のような顔色で何かあったと分かったのだろう。 勿論何が起きたかなんて言えなかったが彼は、 分かった、とだけ言うと去って行ってしまったのだ。 「下ろした…って…?」 「知るか」 何が分かったのかは分からなかったが、どうやら自分のためになにかしてくれたらしい。 ローラはいつも以上に辛辣に言うとどこかに行ってしまった。 仕方なくイオンは紙束を拾い上げてそれを眺めた。 どうやら文章のようなものが長々と書かれている。 だが文章に一貫性はなく、よくわからない単語が並んでいたりする。 「なにこれ…」 しかし気になった文章はこれだ。 【シークレットエンディング・エルメーザ 条件】 ⭐︎一位能力を選択せずに3ヶ月過ごす ⭐︎エルメーザの好感度を半分以上に上げる ⭐︎サブクエスト“大天使の言い伝え”をクリア ⭐︎ヴァガ伯爵の悪事を暴く 「これってやっぱり……」 その書き方はどう考えてもゲーム攻略のそれだった。 そしてその条件と“シークレットエンディング・エルメーザ“とは俗に言う皇帝ルートの事なのではないだろうか。

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