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錯綜する情報とエンディング 3
「どうしよう……」
このままではレンシアは深く傷付くことになるだろう。
だけれどリウムとエルメーザが本気で愛し合っているのならば、邪魔をするわけには行かない。
そもそも邪魔をしようにも手立てなどあるのだろうか。
何か全員幸せになれる方法はないものかとイオンは紙束を漁って情報を探した。
ローラたその下睫毛ですわ
立ち絵を増やしてたも???
レンシア性悪すぎないか?
ラスト泣いた
性癖の隙間に不穏な文字が見える。
それは一個人の感想だと充分過ぎるほど伝わってくるが、
それでも物語としてはレンシアは悪に描かれているのだろうか。
イオンには彼はそんな風にはとても見えなかったが、昨日のボロボロのリウムのノートを思い出す。
まさかレンシアが彼から取り上げた?
レンシアは二人のことを知っているのだろうか?
エルメーザに対して卑屈なのは、怒っているから?
彼の態度を思い出すとなんだか分からなくなってきてしまう。
イオンは不安や妙な焦りのようなものを感じながら必死に紙に書かれた文字を追っていると
急に頬を掴まれて、ぐい、と顔を無理矢理上げさせられる。
驚いて目を開くと、どうやら真顔のローラに頬を掴まれているようだ。
「情報はナイフよりも力を持つが、使いようだ。
振り回されるなよ」
ローラは自分で持ってきた情報なのにそんな事を言ってくる。
ぎろりと睨まれるが、イオンは確かに今情報に振り回されかけていたのを感じる。
「下睫毛……」
普段は眼鏡でわからないが、顔が近付くとそう見える気がした。
彼は、何を言ってるんだ、とどこか呆れたような表情をしながらも手を離してくれた。
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