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2人の天使 1

昨日は大嵐で一晩中雷が鳴っていた。 朝がくるとすっかり空は晴れ渡っており、大荒れの天気が嘘のようだった。 レンシアが癒しの魔法の授業を受けに行くと、その部屋の植物達は生き生きと輝いていた。 そして、担当の教師であるフェディンもまたどこか生き生きと顔を綻ばせている。 彼の隣に立っている栗色の髪の生徒は、いつも見かけている時のように可愛らしい笑顔を浮かべた。 「今日から共に授業を受けてもらうことになったよ」 「ジョルシヒン・リウムです。 よろしくお願いしますね、先輩」 レンシアは絶句してしまった。 癒しの魔法の授業は、入学してからずっと自分だけが受けていたものだったのだ。 それは勿論、癒しの魔法を授かる人間が極端に少なすぎるからではあるのだけれど。 「驚いてしまったよ…まさか生きているうちに二人同時に教えることになるとは… レンシアくんが私の最後の生徒だと思っていたのだがね」 「二人きりの所お邪魔しちゃってすみません…」 「構わないさ…実に喜ばしいことだよ」 フェディンは早速リウムを気に入っているらしく、彼に微笑みかけている。 教師のいうように、超貴重である癒しの魔法の使い手が増えることは喜ばしいことだったが この前の件もあって若干レンシアはリウムという人間がどういう人間なのか、と思ってしまっていたのだ。 勿論悪くは思っていないのだが、なんだか彼は深い闇を抱えていそうだったから。 「入学してからずっと僕の上位能力一位が分からなかったんです… でも…この前測ったら、もしかすると癒しの魔法かもしれないって…それでフェディン先生に見てもらったらまず間違い無いだろうって」 「一位が、癒し…?」 レンシアは思わず眉根を寄せてしまう。 自分の癒しの魔法は一位ではない。 というよりそんな魔法使いは基本的には存在しないのだ。 現存している癒しの魔法使いは皆二位か三位のものを強化している者がほとんどで、 こうして学園で癒しの魔法を担当しているフェディン自身もそうなのだ。 そしてレンシアも例外ではない。 “大天使の生まれ変わり”だとしても、よくある事だとフェディンも言ってくれていたのだが。

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