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魂のイロ 4
「もう、お昼一緒に行こうって約束したじゃん」
「……そうだっけ」
リウムは周りの生徒達から羨望の視線を集めながらもイオンの腕を自然にとった。
「まさか校長先生にあんな風に呼ばれるなんて…終わった瞬間一斉に人が集まってきてびっくりしちゃった」
「絵に描いたような特別扱いだったね…」
リウムは少し困ったように眉を下げている。
同じ部屋なので二人は友達同士、仲の良さは前から伺えていたが。
だからなのかな。
イオンが自分に気を遣ってくれるのは、リウムと友達だからで。
自分はリウムの恋路の邪魔をしていたり、
なんなら役割だって嘘をついて奪っているから…?
“大天使の生まれ変わり”だなんて嘘をついていなければ、
エルメーザの隣にいるのはリウムだったはずだ。
彼らはその事に気付いているのだろうか。
優しくしてくれたのはリウムのため?
どんどん澱んだ思考が入ってきて、レンシアは奥歯を噛み締めた。
魔法は魂に宿る。
自分の心は汚れていて、その所為で癒しの魔法は減ってしまっているのかも。
「あ!エルメーザ!一緒にご飯行こうよぅ!」
リウムは片手を大きく振って次期皇帝を平気で呼びつけている。
「先輩もどうですか?」
彼はイオンの腕に巻きついたままそんな風に聞いてきて、レンシアは小さく息を吐き出した。
「……いいえ、俺は結構です…もう少し自習しておきたいので…」
「えー?テストも終わったんだから少しくらい気を緩めたっていいんじゃない?」
「そういうわけには。…では、ごきげんよう」
レンシアはぺこりと頭を下げて足早にその場から立ち去った。
心の中も頭の中もぐちゃぐちゃだった。
どうすれば心が磨けるというのだろう。
こんなにぐちゃぐちゃで、ドロドロしてて真っ黒なのに。
嘘つきで、卑怯で、
臆病で、
醜いのに。
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