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幻獣生物 1
外の空気でも吸おうと中庭に出て、
スポーツや炎や水の魔法といった授業で使われるグラウンドの横を抜け
大きな池がある場所へとやってきた。
なんとなく歩いていたかっただけなので別に目的はなかったが、池の水はキラキラと光っていて
蝶や鳥や蛙といった生物が呑気に暮らしている。
池の中には銀色に光る魚も泳いでいた。
レンシアはそれを覗き込む。
水面には空が反射していて、その中を優雅に自由に泳ぐ姿は空を飛んでいるようにも見える。
レンシアはレンガで作られた池の縁に腰かけて、その様子を暫く眺めていることにした。
優雅に身体を揺らし、広げられたヒレは翼みたい。
意識を少し集中させると彼らの気持ちが少し伝わってくる。
体に触れる水の感覚、しなやかに動く身体、さっき食べたコケが消化されていくような。
「…ふふ」
人間にはあまりない感覚には思わず笑ってしまう。
レンシアは魚達に多少癒されてしまって、ありがとう、と池の中に呟いた。
すると魚達がこちらへと集まってきて、水面から顔を出して口をぱくぱくしている。
「お腹空いてるの?」
必死に空腹を訴えかけられているけど、
何か持ってないか!?食い物よこせー!と横暴にも見えてなんだか危機感がない。
レンシアはローブのポケットから昼食で齧ろうと思っていたパン切れを取り出して小さくちぎって彼らに与えてやった。
魚達は我先にと水面から顔を出していて、
こらこら喧嘩はだめだよ、と注意していると
バサバサと鳥が一斉に飛び立っていった。
それは、池の向こう側の森の方から何か叫び声のようなものが聞こえたからだ。
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