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真意と想念 2
イオンは自室のベッドの上で固く瞳を閉ざしているリウムを見下ろし小さくため息を溢した。
「レンシアさんがそんな事するはずないよ…」
自分の命まで投げ打って人を救っていたレンシアが、こんな風に人を傷付けるわけがない、とイオンは信じてやまなかった。
彼が食堂で人を救った事なんてみんな知っているはずなのに、どうしてそんな噂が流れているのか疑問である。
「でも…エルメーザくんが言ってたんよ…
お前がやったんじゃないのかって…」
現場に居合わせたらしいイヴィトはそわそわとしながら壁際に立っている。
「エルメーザくんはすぐレンシアさんにぶつけるからなぁ…」
噂の根幹を支えているのはやはりエルメーザらしい。
エルメーザとレンシアはあまり良好な関係とは言えないようだった。
最も彼は浮気男なので発言は信用に値しないとイオンは考えているのだが。
「ローラはどう思う?」
またしても勝手にイオンの机に向かっていたローラに問うと彼は、ふむ、と腕を組んだ。
彼も現場に居たらしいのだが、聡いローラにはどう見えているのだろう。
「誰がやったか、は問題ではない。何をしたいかが問題だ」
また難しい事を言っている彼にイオンもイヴィトも眉根を寄せる。
「この謎を結論付けるには状況証拠と物的証拠が足りない」
「つまり何も分からないってことやろ…」
「ある程度予想ができたとしても100%そうだと言い切れない場合確定してはいけない。疑わしきは罰するなだ」
イヴィトに突っ込まれているがローラは平然と答えている。
屁理屈をこねくり回す彼は、口喧嘩とか強そうだなぁと思ってしまうイオンだった。
「…気がかりな事が少しある。
今は計算の途中だからまだなんとも言えんがな…
この問題はそう単純ではないように思うぞ」
ローラはそう言ってまた机に向かってしまった。
机の上には量子力学や素粒子の本がいつの間にか勝手に設置してあり
イオンの机のはずなのに彼の趣味で埋め尽くされている。
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