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真意と想念 6
「結局さ、何をやっているかよりも誰が言っているか、なんだよ
先輩が僕の所為で傷付いてしまう事実は変えられない…」
高熱によっての譫言なのかもしれないけど、その意味深な発言にイオンはそれ以上何も言えなかった。
リウムは一体何を思い考えているのだろう。
主人公とはいえ、彼にだって目的や思惑はあるはずだ。
リウムはまるで誰にでも心を開いているようで、実はあまり自分の考えを話さない。
ここへ来たばかりの時は、
学園に通えるのは名誉な事だと言っていたけど貴族に対してとても卑屈だった。
それなのに今の彼は次期皇帝と堂々と浮気をしているし上級生とも連んでいるようだし、なかなかにカースト上位の動きを見せている。
だけど彼の態度は相変わらず控えめにも見えるのが不思議でならない。
何か企んでいるのでは?
皇帝ルートの条件を思い出すと余計に疑ってしまうのだ。
彼自身はレンシアの事を邪魔だとは思っていなさそうだったし、寧ろ仲良くしたそうにも見える。
だけどレンシアにとってはそれがとても辛そうで。
「ありがとうイオンくん…迷惑かけちゃってごめんね…」
リウムはポツリとお礼を溢すと眉を下げて笑った。
「それはいいから…早く治しなさいね」
「はーい…」
こうやって二人で喋ってる分には彼は素直ないい子で、決して悪意などないと分かる。
好きという気持ちも、授かる魔法も自分で決められる事じゃない。
好きになってはいけない人を好きになってしまう気持ちもよくわかる。
もしもそう思っていた人と想いが通じていると分かれば、夢中にもなってしまうだろうし。
だけど人は無自覚でも人を傷付けてしまう。
現実はどちらか一方からの目線だけを描いている物語やゲームのようではなく多面的で、
誰かにとってはヒーローでも、誰かにとっては悪役になり得てしまうから。
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