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温室の天使 3
そんなイオンをウドの茎だとでも思ったのか、巨大な鳥が飛んできて肩に止まった。
ずっしりと重たかったが、
なんだか頭がぼうっとなっていたイオンはそんなのには気にも止めず立ち尽くしていた。
彼は、どういう描き方をすればそんなにキラキラで澄んでいる表現が出来るんだろうというくらい工芸品のような紫色の瞳で両生類のような生物を見つめ、
両生類が彼の指先に頭を撫でられ、心地良さそうに目を閉じると
彼は、ふ、と小さく微笑んだ。
その慈愛に満ち溢れた笑みは、彼を包む穏やかな空気をより一層際立たせていて
気が付くと方々から続々と動物達が集まってきている。
こんな人を差し置いて浮気しようなんて自分だったら微塵も思わないだろうに。
イオンがそんな事を思っていると、
彼はようやく視線に気付いたのかこちらに顔を向けて驚いたように目を開いた。
「リチャーデルクスさん…?」
静かで落ち着いた声に呼ばれ、イオンの時間は動き出す。
噴水の周りには色とりどりの鳥やらリスやらカピバラやらが集まってきている。
「いい魔法使いは動物にも好かれちまうんだってやつですかね…」
「はい?」
ディズニープリンセスのようになっているレンシアに苦笑していると、彼は不思議そうに首を傾けた。
「その子は…ヨコジマオウムですね」
「え?」
彼の目線の先は自分ではなく自分の肩の辺りに注がれている、と気付いたイオンはそちらに顔を向けた。
視界がもふもふの羽で覆われており思わず息を呑んでしまう。
巨大な鳥がイオンの肩に止まっておりくるっと顔を向けられるとその大きな嘴に思わず、ヒィ、と声を溢してしまう。
「い、いつの間に…」
『ムッツリスケベメ!ダカラドーテーナンダヨ!』
「な、なんてこというんだよ!」
鳥は、実にオウムらしい声でイオンをディスり始めそれがまた当たっているので焦ってしまう。
オウムはゲラゲラと笑いながらもイオンの肩から降りようとはしない。
ヨコジマと言われていたが、確かにオウムは白色に紺色のボーダー柄でシマウマみたいにも見える。
地球にいるオウムも結構カラフルだが、こんなおかしな柄のものはいないので幻獣生物なのかもしれない。
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