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温室の天使 4

仕方なくイオンはオウムを肩に乗せたままレンシアに近付いて、彼の隣に腰を下ろした。 「……授業も今日で一旦最後ですね」 「そうですね…」 「レンシアさんは帰省するんですか?」 「…いえ、俺は…ここに残ります…」 レンシアは俯きながらもどこか寂しそうに長い睫毛を揺らし、 膝の上で眠る猫のような生物の身体を撫でた。 「よかった、俺もです」 「…そう…なのですか…?」 「うん。レンシアさんに勉強教えてもらおっかなー 実はここだけの話、ペーパーテスト赤点ギリギリで…」 イオンは苦笑しながら小声で呟いた。 人生二周目で勉強も勝ちまくりモテまくり!なんていうのは物語の中だけの話で、現実は強くてニューゲームとはいかない。 頭のつくりはそのままなのか、イオンは定期テストの結果は散々だった。 『シコッテバッカイルカラダロ!』 「な!?そ、そんなことしてないわよっ! レンシアさんの前で何言ってんの!」 『カッコツケンナドーテー!』 「だまらっしゃ!!」 行き過ぎた茶々を入れてくるオウムには変な汗が溢れてきてしまう。 引き剥がしたかったがオウムはゲラゲラ笑いイオンの頭の上に飛び移ったりして翻弄してくる。 「ふふ、あははっ」 その鈴を転がすような笑い声に、イオンは驚いてしまいまた時が止まるようだった。 レンシアは笑っていて、その笑顔には何故か知らないが顔が熱くなってしまう。 「ヨコジマオウムは魔力がとても高くて、警戒心の強い鳥なのですよ。 よくお友達になれましたね?」 くすくす笑いながらもレンシアは説明してくれるが、イオンはオウムに髪の毛をぐしゃぐしゃにされたまま呆然と彼を見つめてしまう。 彼の顔面が高クオリティなのは知っていたが、こんなにも思考が奪われるのかと疑問に思うくらい。 それ以上に初めて見る彼の笑顔が、あり得ないほどの破壊力で。 「か……かわい……?」 『チャンスダゾ!キスデモシロヨ!』 オウムは何か叫んでいるが、視界がチカチカとなってそれどころではなかった。

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