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予感 2
終業式を終え、夕方からいよいよパーティが始まるらしい。
だけどなんだか朝からイオンは妙な心地になっていた。
学園内は昨日以上に舞い上がっているような雰囲気で、生徒の大半がパーティを楽しみにしているようだったが
その裏に漂う空気にはなんだか底知れぬものを感じてしまう。
何かが、起こりそうな。そんな不確かな予感だった。
パーティには恋人同士で行ったりするらしく、
リウムは約束している人がいると言って早々に部屋を出ていってしまった。
その事から連鎖的に嫌な予感が確信に近付いている気がしてしまう。
イオンは別にみんないるだろうし一人で行くつもりだったが、
同じく一人で行くであろうローラの部屋を訪れてみた。
三人部屋であるローラは、同室の二人が恋人同士な為多分あぶれているだろうし。
部屋をノックして暫くすると、ドアが僅かに開いたが
隙間から見える部屋の中は真っ黒だった。
そしてあり得ないくらい闇のオーラを纏った一つの瞳が覗いた。
「ろ…ローラ……だよね…?」
イオンは苦笑しながら問いかけるが、ローラと思しき片方だけの血走った瞳はこちらを睨んでくる。
「Xデーだ」
「エ?紅だぁぁみたいな事?」
瞳は呆れたように細まると、少しだけドアを開けてどこかに行ってしまった。
ドアの隙間からは真っ黒な様子しか伺えず、イオンはおずおずとドアを開き中を覗き込んだ。
自分たちの部屋とは少し違った間取りの部屋だったが、三方向にベッドと机が散らばっている。
「パーティ、いかないの…?」
「行くつもりはなかったが仕方がない…」
ローラは部屋の中央でこちらに背を向けて何故か立ち尽くしている。
カーテンは閉め切られていたがそれにしても部屋が暗すぎるのはどういう事だろうと思わず照明を見上げてしまう。
「こんな事は考えたくなかったが…“何か”が今日、起きるぞ…」
「何かって…もしかして前に言ってた大きな事……?」
ローラは以前、リウムが何かを起こすと予言していた。
イオンが感じていた嫌な予感ともリンクしてしまう。
「わからん……だが、酷く薄気味の悪い事だ…」
彼は何故かいつも以上にテンションが低いし歯切れが悪い。
ため息を溢しながら無駄にウロウロしている。
「……本当に乗り気がしないが…仕方がない……着替える……」
「あ…うん…じゃあ外で待ってるね…」
「お前はその格好で行くつもりなのか?」
「え?だめだった?」
「ダメではないが…こういう時にはこれ見よがしに着飾るのが貴族というものだろう…」
「そう…なんだ…?」
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