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予感 3

学園内のパーティだし普通に制服で行くものだと思っていたがどうやら違うらしい。 ローラはいつもより覇気はなかったが助言してくれたので、 イオンもまた部屋に戻って着替える事にした。 といっても普段使わない為そんなに私服が豊富にあるわけではないし、おしゃれ着なんて以ての外だ。 クローゼットはほとんど部屋着か制服の替えだし。 しかし入学時に親が買ってくれた上等なスーツがあったのを思い出し、 その一張羅を着ていく事にした。 ベスト付きのブラウンのスーツに身を包むと、 髪型も気になって整えようと試みたが結局いつもの真ん中分けに落ち着いてしまった。 井小田よりも多少は西洋じみた顔立ちなので悪くないのかも知れないが、他の人間に比べればどうだろうか。 エルメーザやリウムの有名漫画家監修みたいな顔に見慣れすぎてもう麻痺してきてしまっている。 部屋の外に出ると、見慣れない生徒が立っていた。 さらりとしなやかに流れる黒髪を撫で付け、タッセルのついた藍色の耳飾り。 同じ色の服はチャイナ服のようにピッタリとしたデザインだったが足元まで丈があり少し袴っぽい。 まさしくゲームキャラのようで服装だけ見ればコスプレ感漂っているが、全然違和感もなく寧ろ妖艶にも見える。 生徒はぼけっと口を開けているイオンを呆れたように見上げてくる。 切れ長の瞳は星空のように輝いていて、 決して大きな瞳とはいえないのに白い肌の上では印象的だった。 「何を呆けてやがる…」 「え……っと…もしかしてローラ……?」 「誰と間違えたんだ?」 彼はよくわからない羽みたいなふわふわのついた黒いショールを両腕にかけており、それで肩を包むように持ち上げながらも呆れたようにため息をこぼしている。 彼が動くとふわりと香水の匂いが漂ってきて、腐っても貴族なんだと思い知らされてしまう。 ちょっとスパイス系のエキゾチックな香りだった。

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