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予感 5

思わず圧倒されて入り口で立ち尽くしていると、誰かがこちらへ駆け寄ってきた。 「おーい!イオン!ローラ!」 いつも通りに手を振りながらやってきたのはイヴィトだった。 彼もスーツ姿だったが体格が良い所為か、いつもよりきちんとヘアセットをしている所為かハリウッドスターのように見える。 「雄っぱいでっか…」 「はい?」 普段制服で分かり辛いがスーツだと余計に分かるその胸のパツパツ具合に思わず唾液を飲み込んでしまう。 しかし嫌な予感がしてイオンはつい彼の首辺りに顔を近付けた。 「エッ…!?」 「うわイヴィトもなんか付けてんじゃん…」 「な、何!?急に!?」 イヴィトは顔を赤らめながら飛び退いているが、如何にも良い男という感じの嫌味のない甘めの匂いがして 垢抜けている友人達には心が折れそうだった。 「ローラすっごく綺麗やんか〜眼鏡ないとなんか別人みたいやけど」 「人は心だろうが」 それは褒められていない時に言う台詞のような気がするが、いつも通りつんとしているはずのローラは高嶺の花のような雰囲気になっているし イヴィトは素直に感想を口にしていて、それはいつも通りなはずなのに 今のフェロモンを漂わせまくっている状態だと普通に人を狂わせるのではないだろうか。 「あんた達やっぱゲームキャラだわ…」 あんなに一緒だと思ったのに。 同じモブ仲間だと思ったのに。 イオンはなんだか裏切られた気がして深いため息を溢した。 「い…イオンもかっこいいと思うで…?」 「自分を客観視する能力がないのは実に哀れだな」 フォローされるわ普通にディスられるわでイオンはちょっと泣きそうになってしまうのだった。 この世界に女の子が存在していなくて良かったと思うべきなのかもしれない。

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