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楯 1
「はぁ…なんか腹減った……」
ローラはぼやきながらも料理などが並んでいるテーブルへと歩いていってしまった。
マイペースさは実に彼らしいが、変に気取らない所はやっぱり彼の推される要因なのかも知れない。
イオンもいつまでも落ち込んでいても仕方がないのでもういっその事三枚目キャラで行く事にした。
井小田時代も似たようなものだったし、
やっぱり自分はイケメンキャラなんて向いていないのだ、と開き直って。
「うちらもなんか食べよっか…」
イヴィトと一緒に料理を見に行くと、いつもの食堂で出てくる料理よりもかなり豪華な品々が並んでいる。
高級ホテルのビュッフェのような光景には流石に心が躍ってしまう。
「すげー…いんすたでしか見たことないような…」
「来賓も来てるし気合い入ってるんやろうなー」
これだけでも来た価値があると思う事にするイオンだった。
思わずキョロキョロしてしまっていると、背中にそっと誰かが触れてくる。
「リチャーデルクスさん…」
声をかけられて振り返ると、イオンの時は止まることになってしまう。
少し長めの金色の髪を編み込んでハーフアップめに纏め、きらりと光る宝石のついた金のピアス。
袖がフリルになっているがシンプルな白のドレスシャツに細いリボンタイ、そして黒いパンツにヒール。
モノトーンだし、飾り気がないといえばないし
露出も少なく上品にまとまっているはずなのに、全体的にピッタリとしたシルエットで、
なんでそんなに色気を爆発させているのかと思わず後退ってしまう。
「ひ、あ、れ、れんしあ、さん…」
イオンが震えていると、レンシアは不思議そうに顔を近付けてくる。
薄く化粧が施されているし、近付くとふわっと優しい香りが漂ってくる。
「あの…ごめんなさい、突然話しかけて…ご迷惑でしたよね…」
「いやいやいや滅相もございません!!!
ビューティー爆撃で腰を抜かす所でございました!」
「イオン…何言っとんの…?」
隣で見ていたイヴィトは若干引いているようだ。
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