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楯 2

「その、今日も大変麗しく、なんていうか、 えちえちで…いや違う、腰細…いや、嘘嘘… えっと…似合っているというか可愛いというかすきっていうか、いやあの服がですね?」 シンプルなスタイルが逆に彼の元の美しさを際立たせているようで、と語彙力豊富に誉めているつもりが テンパリすぎておかしな事をダラダラ喋ってしまう。 レンシアはぽかんとしており、とうとうイヴィトに片手で口を塞がれてしまう。 「レンシアさん、何かご用があったのでは?」 「あ…ええ、エルメーザ様を見かけていませんか?」 「エルメーザくん?さぁ…見てないけど…」 「そうですか…」 レンシアは少ししゅんとなっており、 こんな爆イケな婚約者を放っておいてあいつは何やってんだと友人として普通にムカついてしまう。 エルメーザの事は人として友としては好きだったが、 彼氏としてはあり得なさすぎるとオカマ目線でつい思ってしまうイオンだった。 だけどレンシアは必死に探しているのだろう。 やっぱり多少横柄に振る舞って追いかけられているというのがモテの秘訣なのかもしれない。 拗らせている三枚目キャラのイオンにはとても真似できない所業だ。 「もう少し…探してみますね」 レンシアは、どこか悲しそうに微笑んでいて やっぱり自分だったら、そんな顔をさせて平気ではいられないと思ってしまう。 そんな顔をされてまで追いかけて貰いたいなんて思えない。 それだったらついて来ないでと嫌がられた方がマシだとすら。 めちゃくちゃ危ない思考に陥っていたイオンの脳を思考と切り離したのは、 広間内に響き渡った歓声だった。 そちらの方に顔を向けると、丁度噂をしていたエルメーザが現れていた。 豪華な飾りの施されたかっちりとしたジャケットにロングコートは如何にも王子様といった格好で いつも以上に存在感を放っている。 「うわ…王族って本当にあの涎掛けみたいなの首に巻くんだ…」 イオンはつい庶民すぎるコメントを残してしまう。 広間は人で溢れかえっているはずだったが、エルメーザが歩く度に人々は自動的に彼に道を作っていく。

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