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楯 5

「それからもう一つ、君の保護者であるヴァガ伯爵だが 先日逮捕された」 「……え」 「罪は色々だが…主に詐欺罪だな… 故に彼の発言は信憑性に欠けると判断されている。 そして学園内での事件についても被害者の生徒2名は今の所君ではないと言っている。 だから君への疑いは一先ずは全て不問にしておこう」 淡々と伝えるとエルメーザの叔父はレンシアを睨み付けた。 「実に残念だったよ。 その様子では君を拘束する罪なんて調査すればいくらでも出てくるだろう。 君は二度と皇帝家の敷地を踏むことを許されない。 今後何かを謀ればすぐに拘束されると覚悟しておきたまえ エルメーザにももう近付くんじゃないぞ」 低い声で警告すると、彼はこちらに背を向けてさっさと歩いていってしまった。 エルメーザも彼の後を追いかけ、リウムは何か言いたげにこちらを見ていたが エルメーザに呼ばれて去っていってしまった。 あんなに楽しげだった大広間内の空気は、 あり得ないほどのドン底に叩き落とされていた。 まるで地獄みたいな空気の中、俯いたまま動かないレンシアに向かって何かが飛んでくる。 イオンは咄嗟に身体が動いて、彼の前に出て代わりにそれを受けた。ケーキのようだった。 「出て行け!」 「嘘吐き野郎!」 ヤジが飛んできて、色々な物が投げつけられ始める。 「た、食べ物を粗末にするな…!」 イオンは日本人が染み付いていた為そっちの方がギルティだと思ってしまうのだが、遂には食器が飛んでくるので思わず障壁を張ってしまう。 障壁にぶつかったグラスがぱりんと割れて足元に散らばる。 「…っ…」 レンシアはイオンの背中から抜け出て走り出してしまった。 広間内は混乱し始めており、教師が怒鳴りながら落ち着かせようとしている。 「れ、レンシアさん……っ!」 イオンは彼を追いかけようとしたが、人の波に邪魔をされて見失ってしまった。

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