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部屋チェン! 2
彼はイオンのベッドまで歩いてくると、泣いて少し赤くなった目を向けてくる。
「…イオンくんは…僕のこと、きっと嫌いになっちゃったよね…」
「嫌いには…ならないけど、心配にはなるよ…」
「…心配?」
「リウム、何か隠してるだろ…」
彼からは不穏な気配を感じるものの、何か嘘をついているようには思えないのだ。
さっきの涙だって本気でレンシアを憂いているようにも思えるし。
リウムは眉を下げていつも通りに金色の瞳を輝かせている。
「当たり前じゃん。誰だって何かを隠してるよ。
イオンくんだってそうでしょ」
彼はそう言いながら困ったように微笑んだ。
「嘘なんてつく必要無いんだよ。
発言する“本当のこと”を選んでいるだけの話
そしたら勝手に邪推してくれる。良いことも、悪いこともね」
リウムはいつも通りに愛らしく微笑んで、少しだけ眩しそうに目を細めた。
「……イオンくんのこと、大好きだよ…
…これだって、本当のことなんだよ…」
どうしてそんなに辛そうな顔をするんだろう。
伝説の魔法を手に入れて、婚約者のいる好きな人を、勝ち取って。
みんなから好かれる主人公で、人生勝ち確で、
何もしなくても、なんでも持っているはずなのに。
「…俺も、リウムのこと…大切な友達だと思ってるよ」
それは本心だ。あんな事があってもやっぱり彼のことは嫌いにはれない。
リウムは泣きそうに口を歪めながらも、やがて笑顔を浮かべた。
「…うん。ありがとう…イオンくん」
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